自己矛盾劇場

自己矛盾劇場

「知ってる・見えてる・正しいつもり」を考察する
著者 細谷 功 (著者)
発売日 2018/12/21   価格 1800円(税別)
判型・製本 A5判変型 並製   頁数 148
ISBN 978-4-907623-26-5   Cコード 0095
発行 dZERO   発売 dZERO

●装画+本文漫画・イラスト:一秒
●装丁:渡邊民人(TYPEFACE)
●本文デザイン:森田祥子(TYPEFACE)

商品を購入する

知と社会構造の関係をシンプルに説いたシリーズ『具体と抽象』『「無理」の構造』に続く第三弾です。

「あの人は、人の〈批判〉ばかりしている」という〈批判〉、これが自己矛盾です。
世の中に苛立ちと不毛な争いをもたらす大きな原因の一つがこの人間心理の負の側面であり、
インターネットやSNSの発展によって表舞台にあふれるように出てきています。

「知性の限界」ともいうべき「自己矛盾」が生まれる心理の歪みと社会との関係を
身近な事例を取り上げながら模式・可視化します。

本書の目的は、知の構造を見据えつつ自分自身と対峙するための思考法を提案すること。
メタ認知への扉を開く格好のテキストです。

冒頭の四コマ漫画「モグラ劇場」では、本書の趣旨をわかりやすく説いています。

 

【「知の構造」シリーズ】

第三弾『自己矛盾劇場』同様に、知と社会構造の関係をシンプルに説きます。

第一弾 『具体と抽象』

永遠にかみ合わない議論、罵(ののし)り合う人と人。
その根底にあるのは「具体=わかりやすさ」の弊害と、「抽象=知性」の危機。
動物にはない人間の知性を支える頭脳的活動を「具体」と「抽象」という視点から読み解きます。

 

第二弾 『「無理」の構造』

努力が報われず、抵抗が無駄に終わるのはなぜか。
本書では、「世の中」と「頭の中」の関係を明らかにし、
閉塞感や苛立ちの原因に迫ります。

 

担当編集から一言

原稿の受け取りから、初校、再校、三校まで、すべて時差を考えながらのやりとりでした。
著者の細谷さんはその間、アメリカ、ドイツ、エストニア、スウェーデン、フィンランドなど、
欧米で目まぐるしく動いていらっしゃったからです。

リアルタイムなやりとりは、SNSが非常に役に立ちました。
もうメールの時代ではないということを痛感。
SNSは自己矛盾の宝庫ですが、皮肉にも仕事にはなくてはならないものになっています。
そんなことを考えつつ、少しでもメタに上がろうと努力した編集作業でした。

なお、この作品は、ためになるのはもちろんですが、落語のような「おかしさ」があり、
他のビジネス思考系著者にはない細谷さんならではの「味」が出ています。
 

【目次】
モグラ劇場(四コマ漫画)
第1章 自己と矛盾: 本書における定義と範囲
第2章 滑稽と戒め: 自分は気づかない、他人は気づく
第3章 歪み: 想像を絶する違いに気づいているか
第4章 二つの頭: 知の構造と発展
第5章 「抽象的でわからない」: 人間であることを批判する?
第6章 遠近: 「メタ認知」とは何か
第7章 無限マトリョーシカ: 劇場モデルで見る「三つの視点」
第8章 無知の無知: 人間の知性には限界がある
第9章 知識差: 実は「ほとんど一緒」と知る
第10章 非メタ: 「自称賢者」の勘違い
第11章 「空は黒い」: 言葉には二つのレベルがある
第12章 「あの人はケチだ」: 第二の視点から解放されるために
第13章 「まったく気にしない」: 自己矛盾発言の裏事情
第14章 「行動がすべてだ」: 心理的バイアスの落とし穴
第15章 「自分の頭で考えろ」: それは非常に困難な要求
第16章 「先進事例を真似したい」: それはもはや「先進的」とは言えず
第17章 「今日は無礼講でいこう」: 「号令」という怪しさ
第18章 「全社一丸となって多様性を推進します」: 決意表明に見る構造的自己矛盾
第19章 「多様性の進展度を測定したい」: 評価指標で定量化される価値観
第20章 「横串を通そう」: 温存されるセクショナリズム
第21章 宿命: 思考を硬直化させる「言葉の定義」
第22章 「クライアントは何もわかっていない」: 「賢者のつもり」という喜劇
第23章 「あなたのために言っている」: 教育自体に宿る自己矛盾
第24章 「イノベーターを育てる」: 教育制度と「広大な荒野」
第25章 内在する自己矛盾: マイノリティ問題はなぜ困難なのか
第26章 強烈な自己矛盾: 自然保護と人間のエゴ
第27章 逃れられないのなら