努力が報われず、抵抗が無駄に終わるのはなぜか。
本書では、「世の中」と「頭の中」の関係を明らかにし、
閉塞感や苛立ちの原因に迫ります。
本書のタイトル、〈「無理」の構造〉は、
〈理(ことわり)なきことのしくみ〉、
あるいは〈理不尽さメカニズム〉とも言えます。
そして本書のキーメッセージは、
「理不尽なのは〈世の中〉ではなく、私たちの〈頭の中〉である」
『具体と抽象』に続く、
「わかりやすさ」の時代にに抗う「細谷哲学」の第二弾です。
装画と本文内の一コマ漫画は、
dZEROサイトで漫画「キキミミストあけみ」を連載する一秒さん作。
「細谷功+一秒」のコラボも『具体と抽象』に続いて2作目となります。
【「知の構造」シリーズ】
第三弾『自己矛盾劇場』同様に、知と社会構造の関係をシンプルに説きます。
第一弾 『具体と抽象』
永遠にかみ合わない議論、罵(ののし)り合う人と人。
その根底にあるのは「具体=わかりやすさ」の弊害と、「抽象=知性」の危機。
動物にはない人間の知性を支える頭脳的活動を「具体」と「抽象」という視点から読み解きます。
第三弾 『自己矛盾劇場』
「知性の限界」ともいうべき「自己矛盾」が生まれる心理の歪みと社会との関係を
身近な事例を取り上げながら模式・可視化します。
本書の目的は、知の構造を見据えつつ自分自身と対峙するための思考法を提案すること。
メタ認知への扉を開く格好のテキストです。
担当編集から一言
ベストセラー『地頭力を鍛える』から10年近くがたちました。
細谷さんといえば、ロジカルシンキングとか、フェルミ推定とか、
思考系ビジネス書の著者として数々の著作を書いてこられました。
「ビジネス書は他社で。dZEROでは世の中の原理・原則をひも解く細谷流哲学書のシリーズを」
と、そんなお願いから生まれたのが前著『具体と抽象』です。
このシリーズは、第三作、第四作も決まっています。
乞うご期待!
もう一つ、言うことが。
本書のなかには一秒さんの一コマ漫画と、
古典キャラが同梱されています。
これらを動かしてみました。
アニメみたいなもの、はこちらです。
第Ⅰ部 対称性の錯覚
第1章 錯覚の積み重ねと「三つの非対称性」―「善と悪」は対称か
第2章 「知識」の非対称性、「思考」の非対称性―知的能力が理不尽さを生みだす
第3章 「具体と抽象」の非対称性―お金で上下関係が生まれるのはなぜか
第4章 「言葉」という幻想―「わかっているつもり」を二円図で表す
第5章 「人間心理」の非対称性―水は低きに流れる
第6章 1:9の「ねじれの法則」―「教えられること」と「求められること」は違う
第Ⅱ部 時間の不可逆性
第7章 気づきにくい社会や心の不可逆性―湯は冷め、振り子は止まる
第8章 社会・会社の劣化の法則―「盛者必衰」の真理からは逃れられない
第9章 具体化・細分化の法則―高度化すれば視野が狭くなる
第10章 上流・下流の法則―不毛な議論に費やされる膨大な時間
第Ⅲ部 ストックの単調増加性
第11章 「微分と積分」と現実―増やすのは簡単、減らすのは困難
第12章 のこぎりの法則―増えだしたら止まらない
第13章 折り曲げの法則とストックのジレンマ―「対極」は「紙一重」に変わる
第14章 大企業「病」という幻想―もう「あの時代」には戻れない
第Ⅳ部 「自分と他人」の非対称性
第15章 宇宙と「人間の心」―「絶対的中心」があるかないか
第16章 コミュニケーションという幻想―「言葉の意味」の共有は難しい
第17章 「公平」という幻想―基準は人間の数だけ存在する
第18章 「対等」という幻想―批判する人とされる人の間に横たわるものは
第Ⅴ部 「見えている人と見えていない人」の非対称性
第19章 決定的な非対称性―「見えていない人」には「見えている人」が見えない
第20章 「全体像」という幻想―自分の視野の狭さには気づきようがない
第21章 「経験則」という幻想―自分の経験が「部分」であることに気づけない
第22章 「啓蒙」という幻想―教育は無力なのか