練り上げられた鉄板ネタ、談志版『短命』
立川談志の未公開高座映像をお届けする「談志の高座@クラウド」。
8席目は、「受けた受けた、ギャンギャンと受けた」と談志自ら印す爆笑鉄板ネタ『短命』。横浜にぎわい座で開催された「落語と昭和歌謡 柳亭市馬の会」へゲスト出演した際の映像です。珍しく、まくらもほとんどなく本編へと入っていくが、その理由は、映像と解説からうかがい知ることができます。
落語ファンの心をくすぐる笑いを随所に盛り込み、談志オリジナルのフレーズも満載。浪曲『天保水滸伝』の名調子で出迎えるダミ声の女房の可笑しさ、愛おしさ。これぞ、完成形の談志版『短命』です。
ちょい見せ動画
担当編集から一言
映像編集のチェックで何度となく視聴するたびに、爆笑して肩が震えてしまう。次にくるフレーズを知っているのに、そのフレーズを心待ちにしてしまう。そしてその場面がくると「くぅっくぅっくぅ……」と肩が震えてしまうのです。それが何度となくやってくる。社内の自席でヘッドフォンをあてての作業中、他のスタッフの顔は「?」である。
この衝撃的な面白さを、知らない人に見て欲しくてしかたなくなる。言葉では説明できないので、これは視聴してもうらうほかない。
談志師匠が著書『立川談志遺言大全集1』(講談社)に書いている落語『短命』の解説の一部を以下に。
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「なにィ〝飯を盛(も)れ〟だ……。目付きがおかしいぞォ。お稲荷(いなり)さんの鳥居かなんかに小便でも引っ掛けやがったろう。また腫(は)れたってしらねえぞォ。あん時も一晩中〝冷(ひ)やさせ〟やがって、手が疲労(くたび)れちゃったい。実家(さと)の両親(おや)に喋って笑われたい」
「そんなこと両親(おや)に喋る馬鹿ァどこに居る」
「……いいじゃないの、本当のことなんだから」
このフレーズ大好きなのだ。勿論(もちろん)家元のオリジナルフレーズ、実は実在(モデル)がいてネ、女優でネ……いやはや……どうも……コリャコリャ。
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まくら~落語『短命』(19分46秒)
解説テキスト「解説 談志の『短命』」