落語はなぜ、こんなに面白い?
落研出身の認知科学者は、
その答えを探すため、
前人未踏の研究分野に飛びこんだ。
落語を知らない「論文の査読者」を納得させた
独創的な仮説と実証実験。
名人の口演分析から見えてきた
メタ・コミュニケーション。
認知科学による落語研究、ここに誕生!
【著者からのメッセージ】
落語は、噺家と観客のあいだのコミュニケーションや観客の集団としての振る舞いなど、多種多様な要素が絡み合ってできあがっています。
認知科学は、知性の起源やメカニズムをさまざまな視点で解明しようとする分野です。心理学や脳科学、哲学などが流動的にそして多層的に関与しています。
認知科学の懐の深さは、落語の研究にうってつけです。
私は大学時代、落語研究会に所属し、落語の魅力に取りつかれました。
なぜ落語はこんなにも「おもしろおかしい」のか。
認知科学を志してからもこの問いに対する答えを見つけようと、研究を続けてきました。
本書では、認知科学で捉えたことで見えてきた「落語のおもしろおかしさ」の仕組みをご紹介し、落語における興味深い現象を「学問的なおもしろさ」という観点から述べていきます。――序章より
序 章 認知科学はいかにして落語を捉えるか
第一章 巧妙な「状況モデル」と微細構造
第二章 「遊びのフレーム」とメタ・コミュニケーション
第三章 「まばたき同期」という糸口
第四章 「落語学」という企て
終 章 落語はだれがどのように研究してきたか