正楽三代

正楽三代

寄席紙切り百年
著者 新倉 典生 (著者)
発売日 2015/04/28   価格 2100円(税別)
判型・製本 四六判 上製   頁数 216
ISBN 978-4-907623-13-5   Cコード 0095
発行 dZERO   発売 dZERO

●装画(紙切り):初代林家正楽
●装丁:鈴木成一デザイン室
●題字:柳田泰山

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初代正楽、没後五十年。

初代、二代目、三代目(当代)の足跡と作品の数々。

至芸の百年をたどる。

 お客さんからのお題を、高座で即座に切り抜くという「寄席紙切り」。

「勧進帳の弁慶」「藤娘」「横綱土俵入り」などのスタンダードを創成し、昭和の寄席黄金期に「ハサミの魔術師」と謳(うた)われた初代正楽の芸は、二代目、三代目へと受け継がれ、「紙切り」は、いまも寄席の「華」として色鮮やかに咲き誇っています。

 大名跡となった「正楽」の功績と作品を、初代、二代目、三代目の芸と人間像を追いながらたどる本書。

大正、昭和、平成と時代とともに移り変わる演芸界の雰囲気を織り交ぜて、巻末に初代正楽が書いた「寄席・色物」についての新聞連載原稿を収載するなど史料的価値も。カラー口絵も含め、三代にわたる紙切り作品も多数収載しています。

 

 

担当編集から一言

著者のもとに、ある日、初代正楽の遺品が届く。本書は、そこからスタートします。

落語家を目指していた初代正楽が「紙切り」に転向し、寄席芸へと高めていくまでのいきさつ。同じく、落語家を目指して八代目林家正蔵師匠に弟子入りした二代目が、「紙切り」に転向し、人気芸人となっていく様子。そして、その二代目の芸を見た瞬間に、「紙切り」を継承することを決め、芸を昇華させていく三代目の心境。

本書には、三代にわたる「正楽」それぞれの物語が綴られていきます。

刊行にあたり、快く取材に協力してくださった、三遊亭金馬師匠からは、終戦直後の寄席や演芸界の貴重なお話を、林家木久扇師匠からは、二代目のさまざまなエピソードを、鏡味仙三郎師匠からは、三代目の芸の凄さなどを語っていただきました。

また、五代目古今亭志ん生師匠、八代目林家正蔵師匠、立川談志師匠など名人といわれる落語家とのエピソードなども盛り込まれています。

もちろん、お客さんからのお題を、高座で即座に切り抜くという至芸を身に付け、高めるために、それぞれが味わった苦渋の日々についても探っていきます。

寄席好きの方もそうでない方も、「波瀾万丈・正楽三代」の粋で楽しい物語を楽しんでいただきたいと思います。

はじめに 芸と名跡をつなぐ縁

第一章 創成と大成 初代林家正楽

第二章 継承と人気 二代目林家正楽

第三章 研磨と昇華 三代目林家正楽

第四章 技術と芸 正楽三代の奥義

資 料 寄席と色物 初代林家正楽

林家正楽三代年表