自腹食べ歩き30年、
国内外の訪問店は数知れず。
そんな伝説の食随筆家が紹介するのは、
大切な人を喜ばせたい、驚かせたい、
そんなときにぴったりの料理店です。
日本料理、フランス料理、イタリア料理、中国料理、
インド料理、鮨、天ぷら、焼き鳥、居酒屋、バーなど、
ジャンルも価格帯もいろいろです。
きっとお気に入りの料理店が見つかるはずです。
〔この本のポリシー〕
- 一人客として訪れたときのことは書かない。
- 自腹で行った店のみを書く。
- ランク付けはしない。
- 料理や店の写真はのせない。
- メニューの紹介は最小限とする。
- 原則として価格に言及しない。
〔この本からの抜粋〕
執筆動機は、「大好きなレストランに百年続いてほしいという願い」であり、それが本のテーマでもあります。
ぼくは、ビジネスとして成功している飲食経営には興味はなく、純粋にお客様の喜ぶ笑顔をモチベーションとしているレストランを愛し、応援しています。また、こういった店が末永く安定しておいしい料理やすばらしいサービスを提供していくことができる環境づくりに、客としても表現者としても協力を惜しまない所存です。
食マスコミから素人のレビュアーやブロガーまでもが、「新規オープン店」「有名店から独立した店」「有名シェフの店」を追いかけています。でも、この本は違います。「食文化を創り、それを継承していきたいという強い意志を持っている」と感じる店を、なぜそう思うのかというエピソードを交えて取り上げています。
今のレストラン界には、文化を継承していこうという気概のある料理人と、金儲けのために食ビジネスを展開するビジネスマンがいます。そして、ちゃんとした戦略を持った食ビジネスが優勢であるという現実があります。
「東京百年レストラン」シリーズは、微力ながら、乱立する飲食店の中に埋没することなく継続努力を続けている愛すべき店と日本の食文化の応援歌でありたいと思っています。(序章より)
担当編集から一言
この作品は著者の伊藤さんが二年ごとに発表している「東京百年レストラン」シリーズの第三弾です。一作目が2010年に刊行された『東京百年レストラン』(梧桐書院)、二作目が2012年に刊行された『東京百年レストランII』(亜紀書房)、そして本書となります。
お店ガイドなのに、写真もないし、メニューも載ってないし、価格もわからないし、ということで、過去の2作については書店さんからはいろいろとご意見をいただきました。すみません、今回も、写真やメニューはありません。それどころか、一般的なグルメガイドから「より距離を置いた」構成になっています。
序章には、伊藤さんの「食べ歩き」の歴史と、料理店に対する愛、そして紹介するときのポリシーがつづられています。日本料理、フランス料理などのカテゴライズもしませんでした。目次を見ていただければわかりますが、伊藤さんがその料理店のどこに注目して評価しているのか、その注目点ごとにまとめました。
読者のみなさんには、小説を読むように、ぜひ頭から読んでいただきたいと思います。行かなくても幸せな気分になれる、不思議な本です。写真が一枚もなくても料理人や店主の姿がイメージできます。店内のインテリアも、皿も味も。で、結局、行きたくてなってしまうのですが。
本が売れて、内部留保ができたら、片っ端からこの本に紹介されている料理店を食べ歩きます。
序 章 食への多大な興味、そして小さな問題意識で今に至る
第一章 駅からの街並みを堪能し、エントランスへと吸い込まれる
「街」と「佇まい」にフォーカス。日本料理、フランス料理、イタリア料理、中国料理、やきとり、もつ焼きの11軒を紹介
第二章 その人の作る料理がすばらしいことは、あえて書くまでもない
「料理人」や「店主」にフォーカス。鮨、フランス料理、イタリア料理、ワインバーの8軒を紹介
第三章 創造的な皿が不思議で楽しくて、そしてたまらなくおいしい
「メニュー」にフォーカス。日本料理、浪速割烹、沖縄料理、中国料理、インド料理、シンガポール料理、イタリア料理、やきとり、居酒屋の10軒を紹介
第四章 研ぎ澄まされた酒の世界に、酔いつぶれるまで浸る
「酒」にフォーカス。フランス料理、バー、バル、居酒屋の6軒を紹介
第五章 その店の進化を愉しみ、未来を想像するだけで幸せになれる
「継承」と「進化」にフォーカス。日本料理、鮨、フランス料理、天ぷら、串焼きの8店舗を紹介
「東京百年レストラン」シリーズで取り上げた料理店一覧
本書のほか、既刊の『東京百年レストラン』『東京百年レストランII』で取り上げた料理店のリスト