ものづくりの理想郷

ものづくりの理想郷

日本酒業界で今起こっていること
著者 山本 典正 (著者)
発売日 2014/12/11   価格 1600円(税別)
判型・製本 四六判 並製   頁数 200
ISBN 978-4-907623-11-1   Cコード 0095
発行 dZERO   発売 dZERO

●カバー・表紙写真:阿久津知宏
●装丁:大島武宜

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大学新卒採用の蔵人は、
なぜ24時間勤務を笑顔でこなすのか。

早朝出勤、長時間労働、肉体労働、少ない休日、宿直あり。
それでもここには働く喜びがある。

人気企業ランキングからは見えてこない、
不況しか知らない世代のもう一つの潮流、
新しい価値観、そして未来と希望のものがたり。


【本書より抜粋】

出身地や出身大学はさまざまで、東京生まれの東京育ちもいるが、暮れや正月に休みをとることはできない。

こうした労働環境については、採用面接時にすべてディスクローズしている。にもかかわらず、なぜ新卒の若者が蔵人を志望して遠く和歌山までやってくるのだろうか。夜勤を希望して二四時間業務をこなそうとするのだろうか。それは「ものづくり」の魅力にほかならない。

私たちが目指すのは「ものづくりの理想郷」である。日本全国から集まってきた若い蔵人たちは、自然の恵みと日本の気候風土を土台とした「酒造り」に人生を懸けたいと考えている。

働くとはどういうことなのか、日本のものづくりとは何か。こういう時代だからこそ、若い人たちに向けて一緒に考えてみたい。

 

担当編集から一言

著者の山本さんは、躍進中の酒蔵「平和酒造」の代表取締役、若き蔵元です。
休日はほとんどなく、日本全国を飛び回る自他ともに認める仕事一筋人間です。
著者が渾身の力を振り絞って世に出す処女作には力があると言います。
まさしくそんな作品です。
日本酒の魅力、右肩下がりが続く日本酒業界のなかで始まっている世代交代、技術革新。
不況の日本しかしらない世代(著者の山本さんも含む)の仕事、人生、幸福に対する思いがつづられています。
「経済成長はもう難しいじゃないですか。高収入を求めて大企業に就職するというモデルも、もう駄目ですよね」
と、さわやかに明るく語る新世代は頼もしくもあります。
就活中の大学生や社会人なりたての若い世代に読んでいただきたい作品です。
そして、この作品を読んだ後は、きっと日本酒が飲みたくなります。

ちなみに、山本さんが開発した代表銘柄は「紀土」。こちらです。


序 章 〈斜陽〉の次にくる〈夜明け〉

第一章 〈伝統〉と〈ものづくり〉の復権

第二章 〈伝統〉を守り、〈旧習〉を壊す

第三章 〈脱・季節労働〉の雇用システム

第四章 〈脱・職人気質〉の組織づくり

第五章 〈脱・匠〉のものづくり

終 章 これからの時代の新しい〈成功モデル〉を