『具体と抽象』から10年。
満を持して、シリーズ第4弾刊行!
「ある型」の思考回路は、「あるもの」に目を向ける。
「ない型」の思考回路は、「ないもの」も視野に入れる。
その両者の圧倒的ギャップが世の中を動かしている。
そのメカニズムとは?
私たちの「ものの見方」には、突き詰めれば大きく二つのタイプ、すなわち「ある型」思考と「ない型」思考がある。この両者間の「ギャップや認知の歪み」が世界を動かしている……と著者は説きます。
本書では、「世の中そう簡単に二択で表現できるものではない」という疑問にも丁寧に答えながら、「二つの思考回路」が織りなすギャップや衝突のメカニズムをひも解きます。そこからは、私たちが世の中の事象に対して抱くモヤモヤ感を晴らすヒントが見えてきます。
一体これは何の本なのでしょうか?
一言で表現すれば、「ものの見方の一つを提供する」ための本です。
「無限」は多くの数学者が敬遠して解明が進みませんでした。また「ある」を表現する自然数(1、2、3……)に比較して、「ない」を表現する0は圧倒的にその「発見」が遅れました。扱うのがきわめて難しいのが「ない」の世界です。
本書でいう「ない型」の思考回路は「自らを客観視する」メタ認知の産物であり、これは意識の問題とも関連してAIがいまだに持てない感覚です。これをどう克服するかがAI進化の一つの分水嶺となることは間違いありません。
読み方次第では、何の役にも立たないものにもなれば、ありとあらゆるものに役に立つものにもなりえるのが本書です。
―本文より
序 章 歪みとギャップが世の中を動かしている
第1章 「答えがある」と「答えがない」:無意識のうちに幻想を抱いていないか
第2章 問題解決と問題発見:「見えている」問題に気をとられていないか
第3章 カイゼンとイノベーション:「比較表」的世界観の限界
第4章 レッドオーシャンとブルーオーシャン:壮絶な「シェア争い」のなぜ
第5章 具体と抽象:知的能力が厄介な副産物を生む
第6章 魚と釣り方:二重のジレンマが二極化を招く
第7章 自分と他人:意識されていない非対称性
第8章 「同じ」と「違う」:なぜ「同じ」に吸い寄せられるのか
第9章 安定と変化:目を向けにくい「無限の可能性」
第10章 守りと攻め:完璧に守るか、失敗覚悟で数を打つか
第11章 受動と能動:「きっかけ」がなくても動けるか
第12章 ツッコミとボケ:自らの賢さを誇示してしまうメカニズム
第13章 常識と非常識:所詮それは仮初のもの
第14章 内と外:「中立的な立場」は可能か
第15章 閉と開:セクショナリズムは悪か
第16章 部分と全体:「ほんの一部分」であることに気づくことの難しさ
第17章 既知と未知:「わかっていない」から「自分は正しい」と考えられる
終 章 「無の境地」とは何か